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基礎工合成第1講座:伝統ある研究室と卒業生の系譜

この研究室は、合成化学第1講座として、基礎工創立者の一人、守谷一郎先生を祖とし、その後村橋俊一先生(元日本化学会会長、 その次の会長は野依良治先生でした)、そして現在に至る基礎工創設以来の有機化学の伝統を引き継ぐ講座で、 多くの卒業生が、国内外の化学と化学工業の舞台で活躍しています。東京証券取引所一部上場クラスの企業の社長、 役員クラスも多数存在します。各方面での先輩の顕著な活躍もあって、総合化学工業、製薬関係、材料関係の就職の道は、 非常に広く開かれております。多くの社会の中枢で働く卒業生が、同じバックグラウンドを持つ高度人材の源泉として、 ホームグラウンドの研究室を強く意識してくれているためです。そのため卒業生は、自分の将来の道を、 かなり広い選択肢の中から選ぶことができます。これは基礎工学部合成化学コースの卒業生が講座を 担当している数少ない講座ならでは、そして有機化学というバックグラウンドが社会に大きな信頼を 受けているからこそ獲得できる自由度です。


合成有機化学を修得する意味

当基礎工合成第1講座の卒業生には、時が流れて研究テーマが変遷しても、変わらず 習得することがあります。それは「分子をデザインして実際につくる」ということ。 有機化合物を自由に合成するという一番難しいことができれば、無機化合物でも複合 材料でも何でも合成できるようになります。この「化合物がつくれる」人材は、実は 日本にそう多くいるわけではありません。評判の研究を後追いする研究室や、有力企 業でも実は、その一番おもしろそうに見える素材を、海外から購入したり業者委託で つくらせて使用しているということも多く、特に電子デバイス関係では化合物の合成 ができない研究者が大多数です。

日本の伝統ある有力企業は、それでは研究の足腰がしっかりせず、購入コストばかり かかってしまったり、合成できる会社に高収益のおいしいところをとられたりするの で、分子デザインからスタートして実際に化合物をつくることができる力量ある化学 研究者の卵を血眼になって探すようになってきました。この有機合成技術のニーズ は、化成品、医薬品、プラスチックなどを製造する主力化学企業以外に、ここ数年電 子材料関連企業にまで急速に広がり、S社、M社など有名家電メーカー、印刷メー カーからも熱い視線を受けるようになってきました。


社会の受け皿は?

化学工業の基幹となる合成有機化学分野は、時が流れても、いつの時代でも多くの企業の 熱い視線を受けつづけてきました。 悲しいかな研究分野によって、 社会での高度人材の受け皿許容量が全く違います。例えば、情報系は、高度人材の学生が 1万5000人で、受け皿の求人需要は現在4万5000人と、なんと3倍で非常に豊か。 一方バイオ関連は、夢多い優秀な学生、研究者が非常に多いのに、収益と関係がないので、 研究者の実社会での受け皿はわずかです。(iPS細胞など再生医療分野などが 10年後にこうした問題の解決策となるよう強く願っています)

合成有機化学は、数十年の伝統を基盤に、ここ数年はテレビの液晶など、発光材料、 電子材料、有機ラジカル電池、結晶、ガスセンサー、エネルギー原子力分野にまで 急激にニーズが広がっています。その社会の真剣なニーズに、人材養成側の当方も 驚きを隠せません。関連分野の裾野、受け皿許容量とそれに伴う学生諸君の 就職先の選択肢の広さ、社会との接点の多様さは、十分といえます。


研究と教育の質

研究分野以外に重要な進路選びのポイントが、研究の質でしょう。 ここから先の学びは、教科書ではなく実践です。非常に高い視点を持った 研究者の集団で学んでこそ、よい研究と後追い研究を見抜く目が養え、 実際にそうした高度教育をうけた卒業生だけが、その人にしか できなかったとあとで言われる立派な研究、仕事を社会で達成していきます。

さて研究の質はどうやれば見抜けるのでしょうか。きらびやかな研究テーマ、 重要度が高いと社会が認知する研究テーマでも、その話の大部分が自分の研究結果ではなく、 その研究社会全体が共有する研究テーマの話である場合がよくあります。 そういう場合、話は魅力的ですが、それはただのお話と言ってもいいのです。 高度な論文が、その研究者から発表されていない場合は、 特にその可能性が高いといえます。なんといってもその研究室が よい論文を出すところなのかどうかが質の高い研究室選びの目利きの第一歩です。

大阪大学では、文学部から医学部まですべての学部の研究者を対象に、 毎年100の高度な研究論文を選出して、「大阪大学ではこうして 人類文化の役に立っていますよ」と世界に情報を発信しています。 大阪大学がこの情報発信を行って今年で9年目になりますが、 この講座の研究論文は9年連続、これに選出されています。 詳しくはこちらをご覧ください。 このうち年間ベストテンに2回選出されています。 大阪大学には多数の研究室がありますので、大学全体としては まさに膨大な数の論文を出しています。そのなかでのわずか 100報の論文に9年連続選出されるのは、たまたまの 研究まぐれあたりでは不可能で、少なからぬ意味があります。 その極意は「絶対に人のまねをしない」。「荒野の先に花の道あり」 といった境地です。学生の皆さんには、この口で言ってしまえば たったそれだけの心を学んでもらっています。卒業後は 下記に示すような、幅広い分野で社会に貢献する仕事をしています。


  • 最近の博士前期課程修了者(複数入社を含む)

  住友化学工業
  三菱化学
  旭化成
  花王
  塩野義製薬
  住友製薬
  ダイセル化学工業
  ダイキン工業
  日本曹達
  日産化学工業
  住友ベークライト
  ダイソー
  クラレ
  三洋化成工業
  東洋インキ工業
  日本ペイント
  科学技術振興事業団を経て富士フィルム


  • 最近の博士後期課程修了者

  住友化学工業
  住化分析センター
  鐘淵化学工業
  出光興産
  東京大学大学院研究員を経て大阪大学大学院 助教
  名古屋大学大学院研究員、米国テキサス大学研究員を経て名古屋大学大学院 助教
  物質・材料研究機構ナノ有機センター研究員


  • その他(ポスドク、研究員)

  群馬大学工学部 助教
  富士フィルム