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- 研究内容 » フラビン修飾金ナノ粒子触媒
- 代表的な研究内容 目次
- 環境にやさしい有機合成概論
- 肝臓酵素型有機触媒フラビン
- 金ナノ粒子触媒
- 環拡大メタセシス反応REMON
- ニトリルの炭素-炭素結合形成
- カルバニオン化学
- 機能性有機分子
- 超音波で光る分子
- 強く光るリン光性結晶
- 音で集まる分子
- ハウスガスセンサー結晶
- 分子回転系
表面修飾フラビン分子の合成
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金原子が集合した金ナノコロイド粒子の表面(オレンジ色)に、肝臓の酵素の活性部 位フラビンとリン化合物を結合させた人工デザイン触媒: 金原子約100個、フラビン部位12個からなる特大分子。金表面近傍の疎水性部 位で、酵素類似の酸化反応を起こすべく基質を求めて溶液中をただようイメージ図
環境にやさしいフラビン触媒
本講座では、肝臓酵素型有機触媒フラビンの項目で 述べたように、無毒な有機触媒フラビンを用いて、哺乳類の肝臓に存在する フラビン酵素の働きを再現することに成功しています。我々はこの原理を利用して、 ①有害な金属を用いない、②有害な廃棄物を全く排出しないなどの特徴を持つ環境に易しい酸化反応を開発しています。
図1 環境にやさしいフラビン触媒反応
次世代の高機能フラビン触媒の開発
これまでの研究では酵素の機能をできるだけ単純な有機分子で再現することに主眼を置いてきましたが、 次の段階として我々は酵素の持つさまざまな機能を人工の有機分子触媒に組み込むことを考えています。 例えば、酵素特有の機能として、複雑な構造を持つ酵素の疎水性ポケットに基質を取り込んで特定部位を 反応させる、あるいは効率よく反応を進行させる反応場の提供があります。我々は、 有機分子触媒フラビンと反応場を提供するための第2の分子を規則正しく整列するための 土台として金ナノ粒子に注目しています。
水溶性の塩化金酸を適当な表面保護分子の存在下で還元すると、数ナノメートルサイズの均一な 金ナノ粒子を合成することができます。この時、フラビン分子や反応場を提供する第2の分子を 表面保護分子として用いると、酵素のような反応場を有するフラビン修飾金ナノ粒子触媒を 合成することが可能です。金ナノ粒子の表面保護分子は後で交換することもできますから、 さまざまな組み合わせのフラビン修飾金ナノ粒子触媒を容易に合成することができます。
図2 フラビン修飾金ナノ粒子の合成
こうして合成した次世代フラビン修飾金ナノ粒子触媒は、写真からもわかるように均一な コロイド溶液としてこれまでに我々が開発したフラビン触媒反応に使用することができます。 予想通りこれまでのフラビン触媒と比べても遜色のない高い活性を発揮します。 その上、金ナノ粒子は適当な溶媒を加えることにより凝集し固体として回収することができますから、 反応後の生成物との分離は大変簡単です。また回収したナノ粒子触媒はその活性を 保ったまま何度でも反応に使うことができます。
図3 フラビン修飾金ナノ粒子触媒による酸化反応
次の段階として、反応場を提供する第2の修飾分子を上手に設計し、金ナノ粒子の表面に配置したフラビン 修飾金ナノ粒子触媒を合成し、その機能を検討しています。