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リン光性白金錯体結晶が紫外線照射下で強く発光する様子。通常のリン光発光性分子は、希薄溶液や薄膜では効果を発揮するが、凝集状態や結晶状態ではエネルギーの著しい失活が起こりほとんど発光しないことがよく知られている。このムービーの結晶はエネルギー失活を防止する分子論的仕掛けがなされており、通常とは逆に結晶状態においてまぶしいほど強く発光する。 (国内国際特許申請中)

  


  

上の写真はアルキル基やPEG基で渡環された各種メトキシ置換白金錯体の発光の様子である。メトキシ基の導入位置を変化させるだけで、発光色は緑から赤色まで劇的に変化し、リンカーの種類によって全く発光しなくなる場合もある。この発光性における謎の構造特異性は、結晶構造を精査することで初めて解明された。

  



「光る分子《開拓の重要性

分子が光をエネルギーとして吸収した後、もう一度そのエネルギーを光として戻してくると、例えば、夜光塗料が暗闇で光るような発光現象が現れます。光エネルギーによる発光フォトルミネッセンス(PL)です。 光でなく電気のエネルギーを分子に与えた場合もこれらの分子は発光します。エレクトロルミネッセンス(EL)です。PLとELは密接な関係にあり、光を吸収して発光する分子の開拓は、PLとEL両面で応用が可能になります。 現在、微弱な電気エネルギーで強いりん光を発する発光体を用いた発光素子有機EL(OLED)の開拓に向けて多様な研究が展開されています。これはバックライトを必要としない鮮明な画質、折り曲げ可能なフィルムをディスプレイにできるなど、 液晶、プラズマと比較して多くの点で優れており、現在の問題点がクリアできれば、照明やディスプレイの世界の次期主力と目されています。すでに携帯電話の小型ディスプレイの世界では、十分な実用化が達成され、大量生産が始まりました。


        図1. 有機ELディスプレイのイメージ画像         

  



強い発光体でも結晶は光らないのが常識

有機ELの分野はもとより、それ以外の多くの科学技術分野において、新発光素子開拓の重要性は増していくものと思われます。リン光性の発光素子には、 現在解決上能と考えられてきた一つの問題点があります。それは、高濃度では光らないということ。高濃度、高凝縮状態では発光体は、分子間での著しいエネルギー失活を起こすことでせっかく蓄えたエネルギーを光という形で戻すことができなくなってしまいます。 例えば、有機EL素子の発光体で用いられているイリジウム錯体は、希薄溶液中や薄膜中では、非常に強い緑色のPLを示しますが、高濃度溶液、ニート膜、アモルファス固体などでは、分子間の著しいエネルギーの失活が起こって全く光らないことがよく知られています。 将来の高輝度発光素子開拓を見据えた場合、この問題は解決が求められる根本課題と考えられます。

  



コロンブスの卵、発想の転換で強く光る結晶ができた

我々は、数年間にわたる発光素子の基礎研究の結果、多くの化学者が有機合成反応の触媒などに用いているサレン型錯体を元に分子デザインを改変し、 配位平面のきわめて近い上空をアルキルリンカーが接近するような特異な構造をした渡環型白金錯体が、結晶状態できわめて高いリン光発光特性を示すことを明らかにしました。サレン錯体が紫外線照射下において、鈊く色彩のはっきり判らないどす黒く弱い光を放つのに対し、 これらの錯体はこれまで見たことがない、鮮やかな色彩でまぶしいほどの光を発します。その発光色も現在では、緑色、黄色、橙、赤を出すことができるようになっています。それらはいずれも非常にくっきり鮮明なお色めで、いわゆる演色性の高い発光が観測されています。 既にこれらを発光体に用いた有機EL試作品づくりにも成功しています。


図2. 代表的なリン光性結晶の構造式

 


図3. 多彩な発光色を示す結晶

 

     図4. 有機EL試作品の点滅ムービー

  

 

  



なぜこの結晶がそんなに光る。基礎研究が継続中

研究室ではこの高発光性結晶の発見以来、その発光現象の解明に力をいれてきました。その結果、シクロヘキサンの椅子型舟形程度の分子のきわめて微細なコンフォメーションの変化や分子同士の並び方の微妙な違いで、 全く発光しなくなったり、強く発光したりすることが判ってきました。発光強度、色調、耐久性、温度依存性などあらゆる観点での結晶構造と発光特性の関連の基礎研究が継続中です。