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代表的な研究内容 目次

我々の研究グループでは、合成有機化学を用いて、新しい分子を創りあげることによって、有機触媒や新反応の開拓、 超機能性分子の創出など、今までできなかった仕事を行う分子を創り出す研究を行っています。研究の詳細は各セクションをご覧ください。

超音波で光る分子

超音波で光る分子

我々は2005年に、超音波で集合し、溶液を瞬時に固化させる分子を見出し、ultrasound-induced gelationあるいはultrasound-induced aggregationの新分野を切り開きました。この応用研究の結果、最近、超音波を照射すると瞬時に燐光発光を発する新現象を発見しました。 洗濯ばさみ型構造を有する白金2核錯体の種々の有機溶媒の溶液は、溶液の状態では発光しませんが、 ここにメガネ洗浄機程度の弱い超音波を数秒照射すると、溶液は瞬間ゲル化し、それと同時に強い燐光を発します。 この現象は外部刺激による燐光発光の瞬間OFF-ON制御法として、今後様々な方面での応用が期待されます。

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強く光るりん光性結晶

強く光るりん光性結晶

ごく最近我々は、数年にわたる基礎研究の結果、紫外線の照射下ではげしく光る白金錯体結晶の開発に成功しました。 この結晶は、現在溶液、薄膜では最もよく光ると言われているイリジウム錯体の結晶を凌ぐ高い量子発光収率を記録し、 2011年2月現在、世界で最も強く光るりん光性結晶です。通常発光性分子は、希薄溶液、薄膜、極低温下で発光し、 室温で結晶が強く光ることはありませんが、この結晶は室温でまぶしいほどの光を放ちます。 強い光を放つ次世代発光素子の開拓にむけて、有機化学の視点から研究が進められています。

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環境にやさしい有機合成概論

環境にやさしい有機合成概論

有機合成は、身の回りの有機化合物を合成するための人類の繁栄に必須の科学技術ですが、これは、 強い反応剤を用いて環境を汚してでも達成するしか方策がありませんでした。廃棄物を多量に 出す医薬品や高機能材料の合成を、これからは地球環境のために個人使用は控えましょうと、 我々人類がやめられるはずがなく、また小手先のリサイクルでは問題は解決しません。 有機化学者による廃棄物の出ない新反応の開拓は根本解決の一つです。我々は、 この本質的問題に取り組み、以下の各項目に示す酵素シミュレーションや、 新分子触媒の構築によって、廃棄物の出ない、温和な条件で進行する新反応の開発に成功しています。

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有機触媒フラビンによる肝臓の酵素機能シミュレーション

有機触媒フラビンによる肝臓の酵素機能シミュレーション

肝臓の酵素は体内の毒物を分解したり、生命に有用な物質の合成に関与したりする 化学工場としての機能を持っています。我々は、酵素が行う究極のクリーン反応の 精緻な触媒機能をシミュレートし、肝臓の酵素に類似した小さな分子「フラビン」 を触媒にすることで、肝臓の酵素が行うような、廃棄物の出ない環境に優しい様々 な反応の開発に、世界ではじめて成功しました。

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フラビン修飾金ナノ粒子触媒

フラビン修飾金ナノ粒子触媒

酵素機能の一つに、複雑な構造を持つ酵素の疎水性ポケットに基質が入り込んで、特定部位を反応させる反応場の 提供があります。我々は、有機分子触媒フラビンを金クラスターに修飾したタンポポの綿毛のようなナノ粒子を 新たに創出し、これによるコロイド粒子表面を疎水性反応場とする新しい有機酸化触媒の開拓研究を行っています。 これまでの多くの触媒研究が、単純な分子の反応点を精密に制御する第1世代研究とするならば、 これは反応場と反応点をセットで提供、制御して、酵素に匹敵する基質特異性を目指す第2世代の 触媒開拓研究と呼べるかもしれません。

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環サイズを段階的に増やせる新メタセシス反応REMON

環サイズを段階的に増やせる新メタセシス反応REMON

ニトロンは、肝臓ではできるが合成は困難だったため、その振る舞いがよくわかっていない化合物でした。 我々は上記の酵素型「フラビン」触媒で簡便に合成できるようになった環状ニトロンが、8員環から16員環ジニトロン、 24員環トリニトロン,32員環テトラニトロン,40員環ペンタニトロンへと次々に環サイズを増やしていく性質が あることを発見。これに基づいて様々な含窒素大環状化合物の合成法を開拓しています。

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カルバニオン化学

ニトリルの炭素-炭素結合形成反応とカルバニオン化学

遷移金属カルバニオンを触媒に用いたアルドール反応、マイケル反応は、今や炭素-炭素結合生成の主流です。 本講座では1989年に、世界ではじめてニトリルに選択的な触媒的アルドール、マイケル反応を開発して以来、 中性条件下で選択的に進行するニトリルの環境調和型触媒反応の開発研究を行っています。

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音で集まる分子

音で集まる分子

微少量の洗濯ばさみ型構造を有する2核パラジウム錯体の各種有機溶媒の溶液は、 いつまでもサラサラな流体の状態で安定ですが、これに3秒程度の短く低強度の 超音波を照射すると、溶液は瞬時にプリン、ゼリーのようにゲル化します。 この人類が初めて遭遇した現象は、危険物漏洩や衝撃の瞬時回避や光透過度などの 制御に応用可能な新現象として注目されています。この本質は炭素骨格の配座の 音響制御ですが、詳細は未解明。現在その謎に迫る研究を展開中です。

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シックハウスガスセンサー結晶PINDI

シックハウスガスセンサー結晶PINDI

新築改築、家具導入で発生するシックハウス症候群、原因の特定が素人にできないので、知らず知らずに 健康被害が拡大するのが問題です。色が変わって合図する安価な有機化合物のセンサーが存在すれば、 一挙に状況は変わるはず。我々は、シックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドの蒸気を よく吸着し、なおかつそのときだけ色が紫色から黄色に変わる理想的な有機結晶の開発に成功しました。 そして、この変色メカニズムがS字結晶のSのカーブ部分に蒸気2分子が入り込んでS字のきついカーブの 曲がり具合がゆるやかに変化することで起こる、新機構で起こることを明らかにしました。

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分子回転系の構築

分子回転系の構築

22世紀には、分子は複雑な機械として、人類の目的のため働いている。我々はこれを SFのような話とは思わず、分子機械の構築のための地道な基礎研究を開始しています。 特に羽根車のような分子の回転は、機能のジャンクション部位として重要で、 この精密制御に基礎研究は極めて重要です。2枚の芳香族平面部位を2本のスペーサーで 連結した水車型分子の回転は、過去の研究で、温度以外のいかなる外部因子によっても 回転速度の制御は不能との結論が出されていますが、我々のグループでは芳香族の中心に 8属遷移金属を埋め込むことで、溶媒、pHなどの外部条件で回転の自在制御が行え、 特に世界初の不斉回転制御が可能となることを見いだしています。

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開殻性化合物の機能潜在性の探求

開殻性化合物の機能潜在性の探求

開殻性化合物は、通常の閉殻性化合物にはない電子スピンをもつことから、様々な機能性 (分子磁石、電気伝導体、酸化還元剤等)の構成成分として有用です。最近、我々の研究 グループは閉殻性化合物を瞬時に開殻化する技術「開殻π造形」を開発することに成功しました。 本方法を用いて、集合特性、発光特性などの特異な機能性閉殻化合物の開殻化に用い、 それらの機能性物質としての潜在性(例えば、環境応答性磁性体、熱電材料、超好感度センサー、 新奇な動的集合形態物質)を探求する研究を展開しています。