超音波でカーボンナノチューブを作ってみよう!
(ソノケミストリー 泡の科学)
原篤史
超音波とは
→人の耳では聞くことができない20kHz以上の音
超音波を発生させる機械を液体にいれると気泡 が発生する。これが短い時間、膨張と収縮を繰 り返すのだが、この泡が圧縮されて壊れるときに 瞬間的に泡の内部が5000~数万度、1000数 百気圧の高温、高圧の反応場ができる(らしい)。
 
カーボンナノチューブとは
カーボンナノチューブとはグラファイトを筒状に丸めたものです。
チューブの層が一つのものを単層、複数のものを多層カーボンナノチューブといいます
単層カーボンナノチューブをSWCNT、多層カーボンナノチューブを
MWCNTと略記します。

まずは観測方法の確立
“Separation and Characterization of Single Walled and Multiwalled Carbon Nanotube by using Flow-Field Fractionation”
B. Chen and J. P. Selegue, Anal. Chem. 2002, 74 4774-4780
という題の論文を読んで、実際にこの論文の通り 実験を行い市販のSWCNTSEMを用いて観察を 行った。

2006/6/15 SWCNT(Aldrich)SEMで観察

5/31作成のCNT0.1 mlフィルターに通したサンプル


結果
SEM像からはチューブ状のものは観察されなかった。SWCNTでは見えないのでよりサイズの大きなMWCNT(市販)を用いて実験してみることにした。

MWCNTの観察は伝導性テープに直接ふりかけて行った。

2006/6/21 MWCNT(Aldrich)を、伝導性テープ に振りかけて、SEMで観察。

実際に作ってみた

試薬
・1,2-ジクロロベンゼン(無色透明) 50ml
・塩化亜鉛 適量
・アルゴンガス
参考文献
・"Sonochemical production of a carbon nanotube"  
R. Katoh et al., Ultrasonics Sonochemistry 6 (1999) 185-187


装置
・超音波発生装置

完成したCNT?の画像


SEMの画像

真空中で乾燥

吸引ろ過 

SEMの画像の考察
先の画像からはチューブ状のものは見えなかった。
吸引ろ過をして観察したものはろ紙を観察していた可能性がある。
真空で乾燥させたものは表面にネバネバしたものがありうまく見えなかった。

ろ紙だけを観察した画像

今後の課題
・できた黒い物質をうまくとりだせる方法をみつけること

触媒をいろいろ変えてみてどうなるかを実験すること