クマムシの観察日記
クマムシは、体長0.05-1.7mmの緩歩動物門に属する生物で、ごく身の回りに生息しています。そして乾燥状態になると、トレハロースとグリセロールを体内で合成してtun状態と呼ばれる樽型の形状に変化して代謝活動を止め、乾燥に耐えることができます。このような現象を、一般にクリプトバイオシスといいます。
そこで実際にクマムシを乾燥させてその状態で一時間または一週間保存し、それに水分を与えて元に戻る様子を顕微鏡を使って観察しました。
クマムシの発見場所
実験方法
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阪大内の様々な場所で苔や落ち葉を採集し、それをビーカーに入れて蒸留水を加え、顕微鏡で観察した。
• 発見したクマムシをスライドガラス上で乾燥させて一時間または一週間保存し、その後水を加えた。
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その様子を顕微鏡で観察した。
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下の写真は、実験に使用した顕微鏡である。
実験結果
まず、これが乾燥させる前のクマムシです。これを乾燥させていくと、徐々に動きが鈍くなってきます。
さらに乾燥させると体の一部が透明になってきて、最終的にはこのようになりました。この状態で一時間保存し、水分を与えました。
水分を与えてから十分ほどたつと足のほうから少しずつ動き始め、だんだんと体全体を使って動くようになります。そして二時間ほどたつと元通り活発に動くようになりました。
一週間保存したクマムシも、水分を与えると動き始めましたが、三時間観察した間には完全に元通りにはなりませんでした。
この実験の結果より、クマムシは乾燥させても水分を与えると復活することが分かりました。
まとめ
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クマムシは乾燥させても、再び水を与えると復活する。
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今後の課題
クマムシをスライドガラス上で乾燥させてもっと長期間保存し、元に戻るか見てみたい。
ワムシやセンチュウでも同様の実験をしてみたい。